星のかけらを集めよう

些細な日常や考え事の日記

【考察、感想】Poppin’Party イニシャル

 

楽曲の解釈

「バンドがしたい、ライブがしたい」という、SPACEで初めてライブを見た時に感じた香澄の初期衝動を元にした楽曲。

アニメ1期9話後半から11話における香澄の挫折や苦悩に基づいた歌詞が含まれている。

また、初期衝動や過去の苦悩だけではなく、初期衝動を叶えた今も次なるキラキラドキドキを追い求めていこう、という未来に向かって進み続ける姿も表現した曲になっている。

 

前提条件

  • イニシャルとは

以下の公式の文章を考察の出発点にしました。

そのクールなサウンドからメンバーの成長した姿を想起させるが、歌詞を見て頂くと分かるようにそこにあるのは彼女たちの「初期衝動」そのもの。これからも前へ進み続けるPoppin'Partyの熱量を、大いに感じ取ってほしい。

「イニシャル」について香澄の周りに集まったSTAR(沙綾、たえ、有咲、りみ)という解釈もあるとは思いますが、ここでは上記の説明文に即して「初期衝動」で考えていきます。

 

  • 初期衝動とは

綾奈ゆにこ先生のインタビューにおいて、「初期衝動」という言葉が使われている箇所がありました。

「バンド結成後の9話以降はどのように考えて作ったのでしょうか?」という問いに対し、

憧れのライブハウスでライブがしたいという話にしました。

初期衝動である「バンドやりたい、ライブやりたい」という気持ちを貫く形ですね。(出所:アニメ1期ブルーレイ1巻のインタビュー)

というように書かれていました。

そのことを念頭に歌詞を見てみると確かにアニメ1期の場面が想起されるような歌詞があるように思えました。

そこで、初期衝動=「バンドやりたい、ライブやりたい」という気持ち

と考えることにしました。

  • メタ的な要素の有無について

イニシャル=初期衝動という前提で歌詞を見てもまだ分からない部分がありました。イニシャルは作品中には登場しない楽曲のため、アニメ3期の先を示唆していたり、旧設定(星の鼓動)や中村先生の作品にしかない意味合いなど、今の香澄が知らない内容やアニメやガルパの出来事しか分からない自分たちには理解できない内容が含まれているかもしれない、と考えました。

その辺の条件を絞り込むために色々と考えたり探したりていると、以下の中村先生のインタビューを見つけました。

Q. 作詞をする際に心がけていることはありますか?

A. 『香澄が作詞している』ということを念頭に、香澄以外からは出てこない『強い言葉』を、必ずひとつは作りたいと考えています。

animeanime.jp

 

この発言を元に、アニメ1期からの香澄本人が作詞しているという前提で考えることにしました。

イニシャルの歌詞における『強い言葉』は「地球は誰のものかって?そんなことより I love you」かなと思っています。

 

まとめ

1.イニシャル=初期衝動=「バンドやりたい、ライブやりたい」

2.作詞は香澄であり、アニメやガルパの香澄視点で考える

という前提の下に歌詞をみていこうと思います。

 

CDジャケット、OPについて

歌詞考察の前にCDジャケットとアニメOPに関して気づいたことを書いていきます。

 

CDジャケットについて

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CDジャケット



イニシャルのジャケットは香澄だけこちらを向いています。

今までのジャケットは複数人でこっちを向いている、またはみんな遠くを見ている感じでした。

このことからも、イニシャルは主として香澄に関する楽曲と考えても良いように思えます。

 

アニメ3期OPについて

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アニメ3期OP



・OP後半の演奏しているのが森の中のような場所なのは、初めて星の鼓動を感じたのが山のキャンプ場だったことと関係しているのではないか。

・雨が降っているのは、挫折をした香澄の心象風景なのではないか。

アニメ一期では、2話のランダムスターを落として運んでいるとき、10、11話の香澄が悩んでいるときなど香澄の気持ちを表す表現として使われている。

・また、中村先生は

「OP楽曲の作詞はコマ割りを意識している」、「想像と違うオシャレなMVになっていた」(出所:月ブシ6月号の「中村航こう語りき」)

と言っているので、どんな想定で作詞をしたのか気になる。

 

歌詞の考察

Initial ホンキの自分譲れなくて

衝動 指先から Emotion

 

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オーナーに自分の気持ちを語る香澄

・「ホンキの自分譲れなくて」は、絶対にSPACEでライブをしたいという気持ち。

アニメ1期の公式サイトのトップページやあらすじにおいて、「絶対ここでライブします!」という言葉が強調されている。

また、具体的には以下の行動や会話に現れていると思われる。

〇1回目のオーディション

オーナー「ダメだ。うちのステージに立たせるわけにはいかないね」

香澄「また受けます。いっぱい練習して何回でも挑戦します。」

 

〇1回目のオーディションに落ちた次の日に、またオーディションを受けに行く

オーナー「受かる気あるのかい?」

香澄「あります!」

オーナー「話にならない。足りてないよ全然」

 

〇断られた日の夜にSPACEに行く

香澄「頑張るって思ったら来ちゃって。やっぱりここでライブしたい」

オーナー「だったら納得いく演奏を見せてみな」

香澄「絶対やります」

 

・香澄はギターを弾くから指先から Emotionという表現。

 

 

あの日わたしは 少女でも大人でもなく

混じりけのない眼差しで 夢だけ見てた

 

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出会っちゃった!

・あの日=初めてグリグリのライブを見た日

・少女でも大人でもなく→夢を見ること、キラキラドキドキすることに年齢なんて関係ないという香澄の考え。

1期1話であっちゃんに「もう高校生だよ?」と言われた際に、「高校生だよ」と返答したところにもその考え方が現れていると思われる。

・夢=初期衝動=バンドがやりたい、SPACEでライブがしたい

公式ではないですが、dアニメストアの1期アニメのあらすじには、

「ガールズバンドがやりたい!」「いつか、あのステージに立ちたい!」そんな無邪気な夢にまっすぐ全力で突き進む香澄の熱は、一緒にいる少女たちのことも少しずつ変えていき・・・。」

と書いてあります。

 

 

めらめらゆらゆらり 燃え滾る夜 勇気を噛み締めて 冒険に出たんだ

 

・燃え滾る夜=1期10話 オーディションを受けに行くも断られた日の夜(1度目のSPACEのオーディションに落ちた次の日)。オーナーに「全然足りていない」と言われ、香澄はオーディションに受かるべく、何が足りてないか夜遅くまで一生懸命考える。

冒険=家で足りないことを考えているうちに、いてもたってもいられなくなり、SPACEまで行ったこと

高校一年生にとって、ライブハウス閉店の時間に電車に乗って出かけるのは『冒険』と言っても良いかなと思いました。

 

 

Initial 初めて湧き上がったものは 震え 体中から Emotion

 

・初期衝動が湧きあがったグリグリのライブ。この時の香澄は演奏する側ではなく、聴く側なので、体中という表現。

震える=ドキドキなのではないかと思っています。

1期5話で、たえがオーディションに出る前に「私を震えさせて」と言う。それを受けて香澄は「おたえドキドキ作戦会議」や「おたえをドキドキさせるんだ」という発言をしている。

結果としてクライブで一緒に演奏してメンバーになることを考えると、震える=ドキドキと考えられるのではないだろうか。

 

 

何故に 果てなき夜空に向かって 

何度も同じ言葉を叫び続けるのか

 

・同じ言葉→キラキラドキドキ

 

 

ときに曖昧で見失う 戸惑いがちな自分でも

“手にしたものは” 今でもここに

 

・見失ったもの、手にしたもの、どちらも「キラキラドキドキ」と考えました。

「キラキラドキドキ」だと抽象的すぎて説明になっていないので、いくつか例示してみます。

アニメ1期:オーディションに落ちたらどうしよう、自分が一番できていないという考えにより、キラキラドキドキを失う。メンバーの言葉により立ち直りオーディションに受かる。「バンドしたい、ライブしたい」という初期衝動を叶えることでキラキラドキドキを得る。

バンドストーリー1章:楽しみにしていた商店街のお祭りが中止になりそうでキラキラドキドキを失う。香澄は商店街のお祭りについて、一緒に笑い合える仲間が集まって少しずつ、絆が深まかるようなもの、楽しさや嬉しさが増えていくものと言っています。つまりキラキラドキドキするもの。商店街や区の大人にお願いし、お祭りが開けることに。お祭りに集まった人たちを繋ぐライブができたことで、キラキラドキドキを得る。

バンドストーリ2章、アニメ2期:5人の気持ちが一致しないこと(有咲、たえとのすれ違い)によってキラキラドキドキを失う。色々あり(省略)絆を深め合うことで、5人でポピパというキラキラドキドキを得る。

 

 

イニシャルのその先へ 星の鼓動感じて

(キミは)強く掻き鳴らしている

(今も)心震わせて

ア・イ・シ・テ・イ・ル

 

・初期衝動を叶えた後でも、星の鼓動=キラキラドキドキ=何か楽しいことが始まる予感*1を感じ続けているということ。

・キミ=香澄。ここのキミは香澄以外の4人が歌っている。

心震わせて=ドキドキ

・ア・イ・シ・テ・イ・ル

目的語は、夢・ポピパの仲間・音楽・世界や人類や宇宙、辺りかなと思います。

中村先生はミライトレインの「キミ」について、家で聴いてるときは「キミ」=「ポピパの仲間」あるいは「夢」と言っています。アニメでは「キミ」=「ポピパを応援してくれたキミ」と言っています。(出所:月ブシ6月号の「中村航こう語りき」)

このことからも、一つの表現に複数の意味合いがあっても良いと考えました。

また、キラキラドキドキが『my』から『our』になったり(バンスト2章香澄星4左エピ)、星の鼓動が昔見た星空を具体的に指すだけでなく『みんな』となるように(アニメ3期12話)、ポピパや香澄達の経験や成長によっても変化していくと考えられます。

この辺りの話はまた別途考えたいなと思います。

 

 

そしてわたしは 初めての挫折に落ちて 

星ひとつない暗闇に 立ち竦んでた

 

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一番できていないと言われ立ち尽くす香澄

・アニメ1期10話中盤

初めての挫折=今まで香澄はメンバーをバンドに誘う時も、一回目のオーディションに落ちた時もずっと諦めずに前向きだった香澄だが、オーナーに「一番できていない」と言われ初めて前向きさを失う。

SPACEの前に立ち竦む香澄。

ふらふらくらくらり 倒れた身体 それでもたちあがり 夜空を指した

・アニメ1期10話後半

朝練をしたり、昼休みもギターを弾いたり、夜遅くまで練習する香澄。

体力的にも精神的にも追い込まれてしまい、声が出なくなってしまう。

 

 

Initial 今でもキミ探している

触れる くちびるから Emotion

 

・キミ=キラキラドキドキ

・香澄はボーカルであり、歌うからくちびる

 

 

何故に 幾多の星屑の中で

それが一番キレイに輝いていたのか?

 

・キラキラドキドキを追い求めてたくさんの部活を見学したり、もちろん高校生になるまでも色々探していたんだと思う。それでも見つからず、最終的にたどり着いたのがSPACEで見たグリグリの演奏。

原作の香澄だと歌が好きだったが、今の香澄が何故グリグリのライブにあそこまで心惹かれたのかは気になる。*2

 

 

こんな密やかで 淑やかな

一人ぼっちの夜だけど

キミがいるなら それだけでいい

 

 ・アニメ1期11話冒頭

一人ぼっちの夜=2回目のオーディション(声が出なかった)の夜。部屋で一人泣く香澄。2回目のオーディションを見る限り、香澄以外の4人は合格するくらいやりきっているように見える。「一人ぼっち」というのは、「一番できていない」と言われ悩んでいたり自信がなくなっていることを4人には相談できないことを表している。

【キミ】はランダムスターと思われる。ギターは人ではない*3ので、【独りぼっち】ではなく【一人ぼっち】なのもしっくりくる。

 

 

誰かが人の夢を笑った

誰かが人の夢に泣く

誰かは人の夢に思いを重ねている

 

・ここの歌詞が一番分からん!となったところでした。

最初は特定の誰かのことを言っていると思い、色々考えました。

でも香澄ちゃんが「誰かが人の夢を笑った」という他人を悪く言うようなことを歌詞にするとは思えません。*4

とするとこれは具体的な出来事を語っているのではなくて、一般的な話をしているのではないだろうかと考えました。

「夢」に関する様々な向き合い方を出すことで、ポピパの夢への向き合い方と対比させる効果があるのかもしれないと考えました。

そもそも、ポピパにとって夢は笑うものでも泣くものでも重ねるものでもなく、夢は撃ち抜くものだと思います。

 

 

連続する日常と

断続する非日常が

触れあって 絡まって Halation

 

・「日常の積み重ねの上に非日常があることでキラキラドキドキ(Halation)する」くらいの意味合いで捉えています。

具体的には以下のような感じ。

日頃の写真(日常)によって作られたMV(非日常)がキラキラ輝いていた。

ライブハウスで地道にライブを繰り返した(日常)結果、武道館でポピパが円陣を組んだ際にお客さんも一緒に掛け声をしてくれるほどキラキラドキドキなライブ(非日常)になった。

 

 

地球は誰のものかって?

そんなことより I love you 

 

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人類愛につながる概念を語る香澄

・「地球は誰のものか?」という難しいことを考えてもよく分からない!

そんなことよりも目の前のみんなやポピパが大好き!

といった感じで捉えています。

・ここが先述した一般的な「夢」に対する向き合い方との対比になっていると考えています。またこれは、ポピパの思考や行動の原理みたいなものを示しているとも思います。

バンドストーリー一章において、Happy Happy Party!を作曲する時に、「人類愛」は分からないけど身近なことなら分かる!これを歌にしよう!という場面があります。

「地球は誰のものか?」や「人類愛とは何か?」といった非日常的な概念を直接的には分からなくても、身近な人への想いといった日常的なことを拡げていった先で、それらにたどり着くのがポピパらしさの一つかなと思います。

 

 

涙がひとつ落ちて……

まるで不確かで頼りなく

拠り所のない自分に

「キミはキミだ」と教えてくれた

 

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5人で前へススメ!を歌う

・アニメ1期11話の公園のシーンのイメージ。

オーディションに落ちても、声が出なくなってもみんなの前では何とか前向きに頑張ってきた香澄が、メンバーの4人の前で初めて泣いてしまう。

大槻監督はこのシーンについて以下のように言及しています。

香澄が初めて根っこにある弱さや不安をさらけ出すシーン

(出所:アニメ1期ブルーレイ5巻のインタビュー)

・「キミ」は香澄のこと。有咲、りみ、たえ、沙綾の言葉で自分を取り戻す。

有咲「それはそうだな。やるって決めたらこっちの言い分聞かずに突っ走って巻き込まれてけがすんのもこっち。でも悪くなかった。迷惑っちゃ迷惑だけど、香澄に引っ張り込まれたからまた頑張ってみようかなって思えたし」

たえ「まぶしかった。言い切っちゃう香澄。いいなーって思った。ステージに立つの私にはまだ早いかなって思ってたけど一緒に頑張ってみようかなて思ったの」

りみ「私も。香澄ちゃんが何も持たないでステージに出て行ったときまぶしかった。すごいなーって。だから踏み出せたんだよ。わたしも香澄ちゃんみたいにきらきらどきどきしたいなーって」

沙綾「何かを追っかけてる香澄すごい輝いてるんだよ。それが香澄の目指してるキラキラかどうかはわからないけど。うらやましかった。私ずっと立ち止まってたから。香澄が引っ張り上げてくれたんだよ。有咲とりみりんとおたえとバンドやろうって」

 

 

感想

今回イニシャルの考察を行って良かったことが2点あります。(ここコンサル)

1点目は、イニシャルという楽曲に思い入れが持てるようになったことです。これまでイニシャルについて自分なりの解釈が何も無かったので全然思い入れがありませんでした。ポピパちゃんの楽曲はメッセージ性のある楽曲が多いと思っています。楽曲の意味を自分なりにでも理解することで、ライブで聴いたときに感動したりするんだと思います。今回の考察を行ったことで、次のライブでイニシャルが演奏された時も自分なりの解釈を元に聴くことができるので、それがすごく良かったなと思います。

2点目は、考察をするにあたり振り返りを行うことで、ポピパちゃんとゆっくり向き合えたことです。

アニメ3期のポピパちゃんはすごくお姉さんになっている印象がありました。でもそれもただ時間が経ったから成長したわけじゃなくって、楽しい日々の中にある辛いことを乗り越えていったから成長できたんだなーということを再認識できました。

アニメ1期の10話、11話はすごく辛かったです。特に11話冒頭の香澄が部屋で一人泣いているシーンが一番きつかったです。みんなの前で泣いているならまだしも一人というのがきつく感じました。助けてあげたいのに何もしてあげられないのがもどかしかったです。でもそういう感情も前回アニメを見た時よりも香澄ちゃんのことが好きになっていたからだと思います。同じ出来事に対してでも、自分が変われば感じることも変わると思うので定期的に見直したいなと思いました。

その他に印象的だったのは、「地球は誰のものかって?そんなことより I love you」という歌詞を考察した時に感じたことです。ポピパちゃんは関わる人みんなを幸せにする存在なんだなと。身近な人々を愛し、その範囲をどんどん広げていく感じ。

そのようなことに関して今でも覚えているのが7thライブでサイサイさんとの対バンが発表された時のことです。当時自分はサイサイさんのことを良く知らなかったので、正直言ってあまり嬉しくありませんでした。でも実際にメラドでのNGNCに参加してその考えは変わりました。ポピパちゃんとサイサイさんはもちろんその両方のファンが一つになってライブを作り上げている感じがしてすごく感動しました。今振り返ると自分が知らないバンドだからって対バンに反対するのは良くなかったなーと思います。2次元、3次元どちらのポピパちゃんもそういう心の狭いことは思わないと思うので。

今回の考察でポピパちゃんに改めて深く触れたことで、自分もポピパちゃんのように分け隔てなくみんなを愛していく優しさや温かさを持った人間になっていきたいなーと思いました(小並感)。

 

*1:星の鼓動については別途考えていきたい

*2:そこは感性の問題であって理屈じゃないと言えばそうなんですけど

*3:ファンミが懐かしいですね

*4:香澄ちゃん大好きヲタクの根拠ない意見